家の教会を合法化するにあたって、具体的に家の教会をどのように登録するかについては、以下の三つの方法があると言われている。
①三自愛教会の組織外で宗教活動場所を登録する方法
この方法は教会組織を登録する方法ではなくて、“集会場所”だけを登録し、その場所における合法的な宗教活動を可能にすることに主眼を置いたものである。登録を進める際は、家の教会は地方の宗教事務局に直接登録申請する方法を採用する。
この方法の最大のポイントは、様々な政治的背景によって利益集団と化した“両会”を通さずに登録するところにある。
※両会とは、三自愛国運動委員会と中国基督教協会のこと
“両会”を通さないことによって、それぞれの教義上の違いから起こる紛争や、財産権をめぐるトラブルを回避することができる。条件が整っている教会は教会堂を建設することも可能にし、たとえ教会堂がなくても、集会所を政府公認の宗教活動場所とすることを目的とする。
“両会”の批准を受けない形で、登録を進める方法を採用することによって、必然的に三自愛教会の影響力は次第に弱まっていくことが予想される。政府が家の教会に対し、十分な時間と機会を与え、双方が対話を重ねることによって、相互理解や信頼関係が構築されるようになるようになる最も現実的な方法であると言われている。
②独立した宗教社団法人として登録する方法
この方法は上記方法①をベースとした上で、さらに、教会組織を合法的に登録させるというものである。
教会組織のその活動や性質から判断した場合、現代の社会において、教会が宗教社団法人に属することは、明らかなことであるため、「宗教事務条例」の第六条の記載内容を適用させて、教会を正式な合法の宗教社団法人として登録することを目標とする。
第六条には、宗教団体を成立、変更、登録する際は、通常の社団法人登録手続きと同様に「社会団体登録管理条例」に基づいて、登録ができることを明記しており、さらに、法人は規約に従って活動し、法律の保護を受けることができるとも記載している。
しかしながら、政府はこの方法に対して難色を示している。
③教会の届登録制を実施し登録する方法
届登録制とは、もともと政府が一般企業に対して行っている管理制度の一種であって、2004年に許可制から届登録制への移行が行われた。
これまで企業は、企業の設立、合併の際は、国の行政審査機関に報告し、許可を受けなければならなかったが、届登録制に移行してからは、行政審査機関に報告する必要はなく、ただ工商行政管理局に登録するだけで企業設立ができるようになった。
現代の中国の社会生活の中で、この届登録制はどこでも見られる管理方法である。
例えば、愛好会レベルの太極拳の組織や合唱団の組織なども、国の組織ではない行政管理機関である居民委員会の届登録制によって活動しており、その管理方法は非常に簡単なもので、組織側は、年に一度、民主的な方法によってその組織の責任者を決め、その責任者は自分の連絡先とメンバーの名簿を居民委員会へ提出するだけでよい。
一方、居民委員会の職責は、組織の活動内容を理解し、必要があれば、適宜指導するだけという非常にゆるやかな登録制度である。しかしながら、教会の届登録制実施は最も理想的であるといわれており、その道のりは遠く、現状、最も楽観的で困難な登録方法と言われている。
法整備をまたなければならない
様々な登録方法があるように見えるが、実際は家の教会にとって有利かつ適用可能な法律がなく、運用できていない状況にある。
憲法で信教の自由は認められているものの、関連法律法規がなく、条例レベルでの運用となっている。
現状、政府としては今後も管理しやすい①の方法で家の教会の登録を推し進めていく可能性が非常に高い。
※参考資料
基督教的发展与中国社会稳定—与两位“基督教家庭教会培训师的对话”
参考資料