Planet Shakersについて
プラネットシェイカーズはオーストラリア南部メルボリンにある教会であり、また、クリスチャンバンドでもあります。世界的に非常に有名なバンドですが、日本ではキリスト教界隈以外ではほぼ無名だと思います。タワレコや音楽雑誌でも見たことがありません。ちなみに、日本にEarth Shakerというロックバンドがありますが、こちらはキリスト教とは関係はありません。
great to get our feet on the ground here in Doha, QATAR ?? we can’t wait to worship with you TOMORROW! #planetshakers #tour #aliveagain pic.twitter.com/qqvCUvy6hJ
— PLANETSHAKERS (@planetshakers) 2017年5月10日
プラネットシェイカーズはバンドから生まれた教会です。1997年に初めてのカンファレンスが開催されたようです。「全世界中の世代が一つになって神を礼拝し、キリストの表れと力によって人々の心が変えられ、世界を変えよう」ということを目的としているようです。明確なヴィジョンを持って集まったバンド集団です。それゆえ、プラネットシェイカーズの曲にはイェス・キリストを礼拝するワーシップソングが非常に多いです。歌詞で使われる「あなた」はイェス・キリストをさしてます。
日本ではキリスト教以外の人はほぼ誰も知らないので、知名度を下げています。
メンバーについて
プラネットシェイカーズの活動期間は約20年で、最初の10年と後の10年を2分することができます。
- 最初の10年(1997-2008)
初期メンバーであるヘンリー(Henry Seeley)とマイケル(Michael Guglielmucci)の2強時代。ほとんどの曲をこの二人が作っています。
ヘンリーがワーシップリーダー兼エレキギター、マイケルはベースやコーラス、曲によってはメインボーカルで歌っています。2004年にリリースしたOpen Up the Gates(ヘンリーが作詞作曲)がDove Awardにノミネートしています。
イェス・キリストへのラブレターに近いようなストレートな歌詞をロックサウンドにのせており、非常に情熱的でエネルギッシュです。個人的な解釈によりますと、彼らはもちろん、ギターサウンドが好きだったとは思いますが、イェス・キリストへの情熱を表現するにはこのサウンドしかなかったと言わんばかりの内から溢れる強い何かを感じ取れる曲が多いです。
- 後の10年(2009-2017)
ジョシュ・ハント(Joth Hunt)を中心とするジョシュ・ハム(Josh Ham)やBJ(BJ Pridham)からなるポストプラネットシェイカーズの時代。ジョシュ・ハントが多くの曲を作っています。ヘビーなサウンドやデジタルサウンドをうまく融合させたリズムの細かい独創的な曲が多いです。従来どおりのストレートなわかりやすい情熱的なスタイルは健在で、彼らを見る限り、プラネットシェイカーズがもつスピリットは最初の10年から後の10年へうまくソフトランディングできていると感じます。
時代による曲の変化
プラネットシェイカーズはその他の有名な教会のワーシップソングと比較すると一貫してギターサウンド厚めの楽曲が多いです。時代の変化とともに曲も変化してきていますがおおよそ、以下のように分けることができます。
- プレギターサウンド時代(ヘンリー&マイケル)
- スカサウンド時代(ヘンリー&マイケル)
- シンセリフサウンド時代(ヘンリー&マイケル)
- 哀愁漂う曲が多い時代(ヘンリー)
- ポストギターサウンド時代(ジョシュ・ハント&ヘンリー)
- ロックEDM時代(ジョシュ・ハント)
プレギターサウンド時代
ゴリッと骨太で思い切りの良いバンドサウンドです。比較的重いギターサウンドにラップをのせた曲や、メロディックなパンクロックサウンドの曲が多いです。
- When the Planet Rocked(2000年)
- So Amazing(2001年)
Shake The Planet
スカサウンド時代
プラネットシェシェーカイズらしい歪みのかかったギターサウンドに管楽器を入れて、スカバンドっぽい雰囲気に仕上がっている曲(Live 4 Uなど)が多いです。Phenomenaに収録されているIt’s all about Jesus(YouTube)はプラネットシェイカーズらしい爽やかなワーシップソングです。
- Phenomena(2001年)
- Reflector(2002年)
- Open Up the Gates(2002年)
- (My King) Praise & Worship(2003年)
- Rain Down(2003年)
Live 4 U
シンセリフサウンド時代
前回のアルバムから2年ぶりとなるアルバムは打ち込んだサウンドをバッキングとして用いた曲が多く見受けられます。また、管楽器はなくなった一方で、ヴァイオリンやコントラバスなどの弦楽器が使用されている曲もあります。全体のサウンド自体は比較的落ち着いていると思います。
- Evermore(2005年)
- Always and Forever(2005年)
- Pick It Up(2006年)
- Arise(2006年)
- Praise Him(2006年)
- All That I Want: Live Praise and Worship(2006年)
- Never Stop(2007年)
- Saviour of the World(2007年)
For all You’ve done
哀愁漂う曲が多い時代
この時代は後述するプラネットシェイカーズ内で重大問題が起きたタイミングでのアルバムです。完全に個人的な推測にすぎませんが、マイケルが抜けてヘンリーの失望が大きかったと思っています。Freeのアルバムは正直ぱっとしてなくて、どこか哀愁漂う曲が多いです。In The Highest(YouTube)
- Free(2008年)
- Beautiful Saviour(2008年)
- All for Love(2008年)
Come Holy Spirit
ポストギターサウンド時代
この時代の前半はヘンリー&ジョシュ・ハントの世代交代中のアルバムです。ギターリフが印象的で重厚サウンド。1音下げチューニングの曲が多いです。従来のギターサウンドはそのままにタイトなビート感とソリッドギター感が特徴的です。
- One(2009年)
- Deeper(2009年)
- Even Greater(2010年)
- Nothing Is Impossible(2010年)
- Heal Our Land(2012年)
- Limitless(2013年)
This Love
ロックEDM時代
完全に世代交代したあとの時代です。固定観念を一旦、取っ払うことによって生まれたような振り切れたサウンドです。ロックとエレクトリカルなEDMが融合したデジタルサウンドが強いハイブリッド系サウンド。従来にもまして、緻密に作り込まれている楽曲が多いと思います。
- Endless Praise: Live(2014年)
- This Is Our Time: Live(2014年)
- Outback Worship Sessions(2015年)
- #LETSGO(2015年)
- Overflow: Live(2016年)
- Legacy(2017年)
Endless Praise
Planet Shakersに関する重大事件
2008年に起きた初期メンバーのマイケルの重大事件を境に世代交代が起こり始めます。詳しくはこちら(Wikipedia)に記載されています。以前の中心メンバーであったマイケルは完全に姿を消し、2009年ごろからリーダーであるヘンリーは次世代リーダーのジョシュ・ハントにメインボーカルを任せていきます。そして2011年ごろに、とうとうヘンリーがプラネットシェイカーズを脱退し、奥さんのアレックス(Alex Seeley)と娘二人とともにアメリカのナッシュビルに移り住みThe Belonging Coという教会を始めます。
初期から大ファンだった私にとって、初期メンバー2人の脱退は非常にショックでした。ヘンリーはその後、アメリカで個人名でアルバム(Find A Way)を出したり、教会として音源を出していますが、どうしてもマイケルと二人三脚でとてつもない勢いで成長していた時のことを思うとやるせなく思ったりしてしまいます。
ただ、この事件から学んだこともあります。教会内でどのような事情があったのかはわかりませんが、まず、ヘンリーがかなり早い段階で次世代にすべてをバトンタッチしたことは賞賛に値すると思います。世代交代の成功です。もう一つは、ヘンリーはバンドリーダーかつ初期メンバーで、当時は知名度もうなぎのぼりで、世界中でカンファレンスを開催して急成長している中にもかかわらず、潔く退いたところにキリストの謙遜を見るような気がしたことです。
脱退する直前のカンファレンスのライブでは、以前はステージの真ん中にいるのが当たり前だったヘンリーがスポットライトの当たらないステージの端っこのほうで粛々とサイドボーカルをしているのを見る度に、「神が与えてくださったものに固執、執着しない心」がいかに大いなるものであるかを学びました。
そんなヘンリーびいきなわたしなので最後にヘンリーがプラネットシェイカーズを脱退した後のOpen Up The Gateをシェアして終わりたいと思います。
Open Up The Gate(Find A Way ver)