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中国に信教の自由はあるのか
中国は共産党指導下にある国家だから、信教の自由がない。だから、キリスト教徒が迫害されてると思いがちですが、それは大きな間違いだ。
まず、第一に、「宗教信教の自由」は、中国の基本宗教政策のひとつで、憲法が中国国民に与えている立派な権利である。
それと同時に、宗教事務条例には、すべての宗教団体は規定に従って、登録しなければならないことも明記されている。
しかしながら、改革開放以来(1970年末)、著しい成長を遂げた家庭教会の大部分は、規定に従って登録しておらず、いわゆる「地下教会」として、活動しているのが現状である。
中国のキリスト事情で、「地下教会」、「家庭教会」という言葉を使用した時、地下や洞窟に集まってろうそくを持って集会を持ったり、日本の家庭集会の規模をイメージされる方がいらっしゃるが、それは、あくまでも文化大革命(1966~67年)の時代の話で、現在、そのような形式で礼拝を持っている教会はほぼない。家庭教会の規模も数十名から数千名の規模のものまで様々である。
いずれにせよ、現在、この言葉を使用する時は、政府公認の教会(三自愛教会)に対して、政府非公認の教会を指す場合がほとんどである。
様々な団体による人口データ
さて、本題の中国のキリスト教人口についてであるが、まず、政府公認の三自愛教会の人数は、1800万から3000万人ほどというのが定説になっている。
一方、家庭教会の人数は、キリスト教徒の定義の難しさと、地域の広大さゆえか、各団体から様々な数字が出ている。
- 中国宗教事務局の発表によると、1000万人
- 中国キリスト教協会の発表によると、1600万人
- 欧米系の宗教組織団体の発表によると、1億人
- 韓国系の宗教組織団体の発表によると、1億2000万人
- 中国国内の家の教会の発表によると、7000~8000万人
中国社会科学院の人口データ
もっとも信憑性が高いものとして信じられているのが、政府系シンクタンクの中国社会科学院が、2007年から2008年に1年間かけて実地調査した際の数字である。
その調査によると、4500万~6000万人。
もちろん、これは5年以上も前のデータなので、現在では、この数字よりも大幅に増加しているとは思われる。それでも、家庭教会の人数について語る時は、この数字を参考にされることがほとんどである。
ゆえに、中国のキリスト教人口は、三自愛教会と家庭教会を足して、6000万から7000万人くらいということになる。
統計データにばらつきが出る理由
では、なぜ各団体によって、これほどまでのバラつきが出るのか。それには、三つ理由があると思われる。
クリスチャンの定義の問題
一つは、最初に申し上げたように、それはキリスト教徒の定義の難しさにある。
洗礼を受けた者を信者と言うのか、洗礼を受けなくても定例集会の参加者を信者と言うのか、「求道者」という言葉をどう定義するか、など色々問題がある。
調査しきれない実態
調査対象地域の大きさに問題がある。中国全土をくまなく歩き回り実地調査することは、まず不可能である。
また、地域によって信者の数は大きく異なっており、一般的に河南省、浙江省、陝西省、福建省などでは、以前大規模なリバイバルが起こったため、信者が非常に多い。
各発表団体の都合が反映される
調査結果の数字に各組織の事情が、反映されているということである。
一般的にキリスト教団体は数字を高く出す傾向がある。宣教に携わっている団体ならば、それが目に見える成果にもなるし、励みにもなるし、自国内に対してもインパクトを与えることができるし、それは、当然のことだと思われる。
一方、中国宗教事務局は数字を低く出す傾向がある。それは、地方政府が中央政府にキリスト教の人数を報告する際、数字をかなり抑えて報告するからである。
中央政府が、政府非公認で活動している教会の増加を喜ぶとは思えない。
上に政策あり、
下に対策あり。
事実はどうであれ、何事においても、地方政府は中央政府が喜ばない報告を、控える傾向にある。
まとめ
- 中国のキリスト教人口は、三自愛教会と家庭教会を足して、6000万から7000万人くらいが実数に近いとされている。
- 数字には発表する各団体の事情が反映されるため、確かな数字はわからない。
- その中で、政府系シンクタンクの中国社会科学院が調査した際の数字が最も信憑性が高いとされている。