30年振り
今日、日銀が政策金利を0.75%に引き上げることを決定しました。この水準まで引き上げられるのは30年振りだそうです。30年前は僕が9歳の頃です。このような転換を目の当たりにすると、改めて経済は短期目線で考えてはいけないと思わされます。
たとえ、自分自身がデフレや低金利しか知らなかったとしても、歴史はインフレや高金利が当たり前にあることを教えてくれます。しかし、特性として人間は自分の直近の過去や自分が経験したことしか起こらないだろうと思ってしまうもののようです。だから、数百年単位で歴史から学ぶ必要があるのだと思います。
住宅ローンの金利
ちまたで政策金利の話になれば必ず出てくるのが、住宅ローンの金利に関してです。政策金利に連動する変動金利にするのか?長期国債に連動する固定金利にするのか?という二択です。5年前はまだ黒田総裁が異次元緩和を継続していた時期で、低金利が続くので変動金利一択という主張が多かったように思います。
なぜ、変動金利一択だったのでしょうか?まずは、不動産営業マンのセールストークがあると思います。営業マンはできる限り安く買えるように見せたいので変動金利での返済プランを提示しているからです。住宅やマンションの広告でも固定金利で算出しているのは見た事がありません。
教科書通りの展開
次に、「みんなそうだから大丈夫だろう」という根拠のない正常性バイアスも働いていると思います。また、過去低金利がずっと続いてきているグラフを見てそれが未来永劫続くだろうと希望的観測をしたこともあると思います。
しかし、実際はどうでしょうか。転換期を迎えたあとは確実に政策金利が上がってきています。変動金利が上がったら固定金利に乗り変えたらいいという意見もありましたが、結局今、10年国債は2%を超えてしまいました。つまり、乗り換えたいと思った時にはもう固定金利は先に上がってしまっているのです。これは完全に教科書通りです。
教科書通りの鉄則
「低金利の時には固定金利で金利を固める」というのが教科書通りの鉄則です。それに従えば低金利の時に固定金利にするのが正しい選択なのです。しかし、約8割の人は低金利の時に上昇余地のある変動金利にしています。
もちろん、インフレで金融資産が上がるので変動金利上昇分も対応できるという意見もあります。また、政策金利が上がると日銀が債務超過に陥るので上げ続けることはできないという意見もあります。
ゆっくり変わっていく
最終的にどっちが正しかったのか?というのはローンを返済し終わってからでしかわかりません。しかし、冒頭に述べたように経済は転換期を迎えており、それが不可逆的になっているということです。そして、それはたちが悪いことに非常にゆっくり変わっていくということです。
急激な変化には人は抵抗を示します。しかし、気付かないうちに起こる変化には鈍感なのです。












