1653_「“断らない病院”のリアル」というドキュメンタリー番組を見て思ったこと

医者の素直な感想

先日、NHKの「“断らない病院”のリアル」というドキュメンタリー番組を見ました。患者を断らない背景には、医者の自己犠牲があり非常に厳しい現場がリアルに放送されていました。

「患者を断らない」を理想に掲げ、年間3万人の救急患者を受け入れる地域医療“最後の砦”にカメラが入った。神戸市立医療センター中央市民病院。「働き方改革」という現実に“医療の質”をどう守るのか苦悩する医師。過去最大規模の赤字も明らかになり、経営を揺るがす事態に。患者の安全、医師の健康、安定した経営・・・。相反する難題に院長が出した答えとは?“断らない病院”が照射する日本医療のリアルだ。

内容は番組を見ることをお勧めしますが、僕は視聴後、医者の素直な感想に感銘を受けてしまいました。こういうドキュメンタリーは多くの場合、”作られる”場合が多いですが、このドキュメンタリーはありのままを映し出していたと思います。

自分でもよくわからない

ある医師が語っていた言葉です。ある日、この医師の指導下にいた医師が自殺をしたそうです。亡くなった医師のお葬式に行ったそうなのですが、全く悲しみを覚えず涙もでなかったそうです。しかし、亡くなった医師のお母さんに対面した瞬間に、涙があふれて止まらなくなってしまったそうです。

この医師は語っていました。「自分でもよくわからない。悲しいことを抑え込んで悲しいと思わなくなるんだから。この仕事は恐ろしい。」また、インタビューアーがしんどそうな若手の医者になぜ声をかけないんですか?と聞くと「防衛反応じゃないですかね。」と言っていました。僕はこの医師がすごいと思いました。なぜなら全国で放送される番組でここまで自分の弱さを出すことをしているからです。

素直で謙虚な人

また院長はこのようなことを言っていました。まず病院には3つの課題があります。それは、地域利用の最後の砦のしての役割を果たすこと、医師の長時間労働問題を改善すること、病院を赤字体制から黒字体制にすること、この三つが解決されなければならないと言っていました。

インタビューアーが「それはできますか?」と聞くと院長は静かに「少なくともわたしには自信がない」と答えたのです。それは投げやりでも弱音でもありません。厳しい現実の中にあっての素直な答えなのです。僕は医師という人は本当に素直で謙虚な人だと心が震えてしまったのです。

「集約化」が大切

そして院長がこれからの医療に関して「集約化」が大切だと言っていました。個人で開業する医師が増え、多くの医療機関が点在する中で、医療設備や医師などのリソースがまとまっていないことが問題だと言っていました。

僕は自分が所属する教団の問題と全く同じだと受け止めました。日本の教会は牧師の自己犠牲のもとに成り立っています。そして今、教団の教会は牧師がいない無牧の教会、一人の牧師が複数の教会を担当する兼牧が多くなっています。地方の小さい教会を見捨ているというのではありません。ただ、リソースを集約化していかないと共倒れになる可能性があるのではないかと思いました。

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