その者を知る
昨日に引き続き士師記の最後の物語について書きます。
レビ人たちは晴れて宿を見つけ飲食を楽しんでるのもつかのま招かざる客がきます。なんとその街の悪い人たちが押しかけてきて「そのレビ人を出せ!」と強く迫るのです。その時に悪者たちはこのように言っています。
彼らが楽しく過ごしていた時、町の人々の悪い者どもがその家を取り囲み、戸を打ちたたいて、家のあるじである老人に言った、「あなたの家にきた人を出しなさい。われわれはその者を知るであろう」。
士師記19:22
この場面は既視感があります。それは創世記でユダが神の使いを家にかくまった時にも同じような出来事が起きたからです。その時にも悪者たちは「その者を知る」と言っています。ここで書いてある「知る」とは性的な意味での知ることであり、男性が男性に対して性的嗜好を抱いていることがわかります。当時のイスラエルの民はソドムとゴモラレベルで堕落していたことがわかります。
イスラエルの民の中で行われた
創世記ではユダがかくまった時、神様の超自然的な介入で悪者たちの目がくらみ家に入る入り口がわからなくなったのでどうにもできなかったとあります。しかし、今回は違いました。悪者があまりにも強く迫るので、その老人はレビ人のめかけと自分の処女である娘を外に出して好きに楽しんでくれと懇願し見逃してもらうようにするのです。この老人もたいがいだと思います。
そして、聖書にはそのめかけが朝方まで悪者たちに乱暴されたあげく死んだと書かれています。心に留めるべきことがこういった悪事がイスラエルの民の中で行われたということです。
12分割に切り分けて
そして、さらに理解に苦しむことが続きます。そのレビ人はめかけの体を12分割に切り分けて、イスラエルの12部族に送ったと書かれています。これによりベニヤミン族がした悪事が白昼に晒され、イスラエル全体に伝わりました。この出来事はイスラエル内で相当ショッキングな事件であったようです。
それを見たものはみな言った、「イスラエルの人々がエジプトの地から上ってきた日から今日まで、このような事は起ったこともなく、また見たこともない。この事をよく考え、協議して言うことを決めよ」。
士師記19:30
協議の結果、イスラエルの11部族はベニヤミン族に「悪事を働いた者を裁くから差し出せ」と要求しますが、ベニヤミン族は拒否しました。それによりいよいよ戦争がはじまりますが続きは明日に続けます。
悪との妥協
ここで学べることがあります。悪事を働いた人は一部の悪者だけでした。しかし、本質はベニヤミン族が悪者を差し出さずにかばったということです。つまり、悪を悪として野放しにする選択をしたのです。これはベニヤミン族としての悪との妥協であり、悪を受けれたことを意味します。