部門間の確執
新卒で入社したメーカーでは営業をしていたのですが、僕にはメーカーの営業は全く向いていませんでした。僕が入社した企業だけが特別なのか、はたまたメーカー業界すべてがそうなのかはわかりませんが、とりあえず、部門間の確執がえげつなかったです。まず、部門間で仲がいいところは存在しませんでした。特に製造と品質保証や営業と製造・管理などは仲が悪かったように思います。
もしかしたら、仲が悪いというよりも、それぞれが役割に徹しないといけないので、仕方がないことなのかもしれません。品質保証は製造で不具合やトラブルが発生する度に、あれこれ文句をつけてくるような部門です。ただし、これは製品の品質を維持するための品質活動であるため当然のように思います。
しかし、製造とて不具合品を出したくて出しているわけではなくて、ゆわれてもしょうがないといったところです。しかし、これは「ビジネスだ。品質第一は譲れない」という一点張りで、感情が前面に出てしまっているのだと思います。
全く不要な嘘
一方、営業部門内では、その場にいない営業マンへの悪口が当たり前でした。生産的な営業活動以外でメンタルがやられるのは本当につらかったです。すごい形相で会社の文句や営業マンの批判はするのに、お客さんからの電話に出ると、満面の笑みで「まいど!お世話になっております!」みたいな調子で、すぐにお面を付け替えられる技術は本当にすごいと思いました。
また全く不必要な納期調整もすごく嫌でした。全く不必要なステップを経て、目的の納期に至るのです。
- お客さん→営業:20日納入にしてほしいと連絡が入る
- 営業→製造:お客さんが10日納入にしてほしい言っていると嘘をつく
- 製造→営業:10日納入は難しいので調整してほしいと言う
- 営業→製造:調整なんか何もしていないのに、何とか15日調整できましたと嘘をつく
- 営業→お客さん:なんとか調整して納期を15日で短縮できたと嘘をつく
上記でお客さんも、製造もハッピーで、さらに営業マンの調整力が評価されると教えられました。僕はお客さんに20日にしてほしいと言われると、20日と伝えるタイプの人間なので、仕事が全くできませんでした。
信頼関係があれば不合理な納期調整は不要
今は開発の会社で7年目になりますが、すべての関係者間で信頼関係があれば、本音ベースのやりとりでも問題がないと確信しています。今では、お客さん、営業窓口、開発の三者の間で立ち回っていますが、いちいち、納期の嘘をつかなくてもいいのです。もちろん、トラブルを予測した場合の合理的なバッファは必要だと思います。しかし、営業の評価を上げるための不合理で、不必要なバッファを持たせる必要は全くありません。
メーカーであれ、開発であれ、一番大変なのは、実際にモノを作っている製造部門であり、開発部門です。もし、営業が不合理、かつ不必要なバッファをのせるのが常習化すると、製造部門や開発部門を焦らせてしまったり、追い込んでしまったりする可能性があります。当たり前のようで当たり前ではない嘘はつかないという誠実さはおじさんになっても忘れたくないと思いました。
■しかし、嘘はつかない誠実さがあれば、信頼関係という潤滑油が業務を円滑に進めてくれる