家の教会の種類
中国の家の教会には大別して、以下の三つの種類の家の教会があるといわれている。
1)伝統的な家の教会
2)開放的な家の教会
3)都市的な新興教会
近年、都市部で急成長している家の教会は、3)の都市的な新興教会である。
この教会の最大の特徴は高学歴の若者が多いという点にある。
この都市的な新興教会の構成成員は、大学生、大学院生、帰国子女など高学歴者、またはサラリーマンなどが多く、農村から発生し、拡大していった伝統的な家の教会とは異なる点が多い。
従来の大規模な教会組織が持っていた規範や制度などに縛られることなく、また、組織枠内に閉じ込められるのでもなく、小規模で、組織的には弱いかもしれないが、より個人や自主性、自我意識を重んじ、独自に教会運営をしていこうという人たちが集まっている。
この都市的な新興教会の発生過程は、主に3種類ある。
①既に存在している家の教会から分化していったもの
都市部の中高年者が中心の家の教会で、大学生やサラリーマンが多く救われてきた結果、より効果的な信徒同士の交流、霊的成長を促進させるため、価値観、世代、職種などがより近い者同士を集中させ、家の教会を分化させた結果生まれた。
②親しい信徒同士たちが自発的に作ったもの
センター教会(母教会)に属しつつ、仲の良い信徒同士が集まり、始めたもので、運営する際は、センター教会の考えや指示に従う。
③海外からの帰国者たちが集まって作ったもの
“海帰”と呼ばれる海外留学からの帰国者が中心になって始めたもので、海外留学中に各国にある中国人の家の教会を通して救われた人たちが多く、家の教会の組織形態に慣れ親しんだ人たちが多い。
この教会に属する人たちの特徴
- 考え方がリベラル
- 信徒の自由意志を尊重する
- 儀式に拘り過ぎない
①考え方がリベラル
この教会に属する人たちは、カトリックやプロテスタント、または、福音派、プロテスタント派といった教派にとらわれない人たちが多い。
ある信徒は、以下のように言っている。
②信徒の自由意志を尊重する
この教会自体は合法的なものではないので、新来者に対しては、ある程度の警戒心と“検査”は実施されているが新来者を非常に喜んで迎え入れ、新来者の自由意志を尊重するようにしている。
信者になるかどうかの決定権を持っているのは新来者であって、教会へ来るようになっても、去りたくなれば去ってもいいし、教会に残って、洗礼を受けたければ受けれたらいい、という、「来るものを拒まず、去るものを追わず」の態度に徹し、組織によって信徒を縛らない方法を採用している。
たとえ、受洗後であっても、この教会へ残るか、他教会へ行くかの決定権は信徒自身が持っており、教会自体は一切関与しない態度をとっている。
③儀式に拘りすぎない
プロテスタント系のペンテコステ派に属する家の教会でありながらも、洗礼の方法には二種類採用しており、受洗希望者の希望に沿い洗礼の儀式をする。
- 灌水礼(頭部に水を注ぐだけのもの)
- 浸礼(全身を水に浸すもの)
家の教会であるため、洗礼を施す場所は、浴室しかなく、浸水希望者は浴槽を使用する。受洗の方法よりも、イェスを信じたかどうかの内的なものをより重視している。現在、多くの中国の都市部の若者が大規模な組織を有する教会より、小規模の家の教会を選択し、教会活動をしている。
教会の組織化がもたらす問題
教会組織の制度化がもたらす弊害について、戴康生氏と彭燿氏は次のように述べている。
- 入信の動機の変化(単純な動機から複雑な動機へ変わる)
- 教会メンバーと組織体系の疎遠化
- 教会の行政制度化と官僚主義の発生
- 教義の定義や道徳基準の制定化により初期精神の喪失
- 宗教組織の制度化がもたらす強迫性のある信仰生活
制度化された教会組織よりも、もっと、柔軟性や自主性や個人といったものを重んじる若者たちが、新しい教会形態を作り上げている。
※参考資料
青年家庭教会弱组织形式初探
参考資料
基于上海某高校圈青年家庭教会的考察 王晨丽
参考資料