中国のキリスト教宗派は大別して、福音派、ペンテコステ派、改革派に分けられる。
地域別で見た場合、中国大陸の北部と南部で、おおよそ二つの宗派に分別することができる。
主に、中国北部がペンテコステ派、中国南部が福音派、が多い地域と言われている。
中国の有名な伝道師に、倪柝声(ウォッチマン・ニー)と、敬奠瀛(けいてんえい)がいるが、それぞれ、倪柝声(ウォッチマン・ニー)が福音派、敬奠瀛(けいてんえい)がペンテコステ派に属している。
入信背景も異なっており、倪柝声はメソジストの家庭で育ち、敬奠瀛はアッセンブリー・オブ・ゴッド教団の宣教師によって救いに導かれた。
二人は福音宣教をする際、お互いの宣教計画を話し合った結果、敬奠瀛は、長江以北の地域を宣教対象にし、倪柝声は、長江以南の地域を宣教対象にすることになった。
それゆえ、必然的に、北部にはペンテコステ派の教会が多く、南部には福音派の教会が増えることになった。
①北部の教会
北部とは主に、河南省、安徽省、陝西省などで、北部の教会の特徴は、20世紀アメリカで起こったペンテコステ運動の流れの教会が多く、その流れから中国国内で生まれた真耶蘇教や耶蘇家庭などの宗派がある。
創始者はそれぞれ、真耶蘇教は魏保羅と耶蘇家庭は敬奠瀛で、異言を語ることや癒しを強調するのはもちろんのこと、三位一体の教義よりも、ワンネス神観を主張するものや、血肉の関係より、霊的関係を重んじ、財産を教会へ持ち寄ったり、クリスチャン同士が共同で住んだり、使徒行伝の時代のような生活を実践したものもある。
おおよその傾向としては、ペンテコステ派は聖霊体験、霊的賜物を強調するため、感覚的霊的体験だけを重視しし過ぎ、聖書研究や黙想、知性の霊的成熟を疎かにしたグループから、異端が多く発生した宗派であるとも言われている。
ゆえに中国の異端の発生源のほとんどは、北部に集中している。
教会の組織としては、中国の伝統的な封建制度を採用しており、権力はリーダーに一極集中しており、ピラミッド型の中央集権的な組織形態の教会が多い。
また、教会活動資金は、海外の宣教団体や教団の援助を受けている教会が多い。
②南部の教会
南部とは主に、江蘇省、浙江省、上海、温州など。
南部の教会の特徴は、敬虔主義や静寂主義やメソジスト派の影響を強く受けている。
敬虔主義とは、ルターの宗教改革後、ルーテル教会から新たに生まれた宗派で、個人的信仰経験、霊的経験を重視し、御霊の証印として心の中に生じる新生や、救われてからの聖化を重視した宗派。
静寂主義は17世紀、ギュイヨン婦人によって唱えられたローマカトリックの形式主義対して、内的な神秘的なものをより、追求しようとした宗派。
メソジスト派は18世紀、英国でジョン・ウェスレーによって行われたリバイバル運動。
これらプロテスタント系の宗派の影響を受けた倪柝声(ウォッチマン・ニー)やその弟子である、李常受(ウィットネス・リー)らによって、福音派の流れの教会が多く形成されていった。
二人は中国大陸各地で数百の教会を建てあげ、現在でも彼らの流れをもつ教会は全世界に2600以上あるとも言われている。また、彼らの務めから助けを受けたクリスチャンは世界中で2000万人もいるとも言われている。
教会の群れを小集団(バンド方式)に分け、分かち合い、勧め、相互の祈りのために集まる集会形式を実践した。
彼らが得た聖書に従った神聖な奥義の啓示は、英語、ドイツ語、フランス語、日本語などに翻訳され、書籍として残されており、その数は500冊以上にも及ぶ。
二人はローカルチャーチの提唱者として有名で、教会の独立性と、地方教会間の横の繋がりを非常に重視する。
ローカルチャーチについて
参考リンク
また牧師や伝道者などの教職者の特別な立場を一切強調せず、教会内の兄弟姉妹間において、上下関係はなく、地位や肩書きなどは存在しない。
小さな群れの教会の牧師のほとんどは、非職業的献身者で牧会がなされていおり、活動資金は海外の宣教団体に依存せず、独自でまかない教会運営をしている。
特に浙江省温州市は、多くの教団があり、温州市を拠点に宣教活動をしている教会も多くある。
基督教的发展与中国社会稳定—与两位“基督教家庭教会培训师的对话”
参考リンク
JWB日本福音書房ウェブサイト
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