中国の教会の種類について

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中国の教会の種類

現在の中国の教会は、以下の2つに大別される。

  • 政府公認の三自愛国教会
  • 政府非公認の家の教会

実際はさらに細かく分類することができるが、政府公認か政府非公認という観点から区別する。

三自愛国教会

三自愛国教会は1950年7月に、キリスト教徒である呉耀宗が、「三自宣言」を発表したことにより始められた。三自とは「自伝、自治、自養」。

これまで中国のキリスト教会は西洋諸国主導であったが、これからは、政府公認のもと、「中国人主導で中国の教会を建て上げる」ことを目的とした。

そして、当時、これは大きな期待をもって、全国のキリスト教信者に歓迎され、4年後には、三自愛国教会の信徒数は、40万人以上にのぼり、当時の中国におけるキリスト教徒の三分の二を占めるまでに至った。

しかし、三自愛国教会は一般的に政治色が強いと言われており、また、中国共産党の組織下にある宗教局が、牧師を任命するため、自由な教会運営ができないことなどを理由に、多くの家の教会の信徒は加入しなかった。

誤解がないように申し上げておきますと、三自愛国教会は政治色が強いと言われているが、その多くは福音的であるとも言われている。

現在でも中国主要都市には、必ず三自愛国教会の会堂があり、多くの人が集っている。

家の教会

前回、大部分の家の教会は、宗教事務条例の規定に従って登録せず、政府非公認の形で宗教活動をしていると書いた。

政府のキリスト教徒に対する迫害は、1950年代から続いており、文化大革命(1966~76年)の時に、迫害の激さが最高潮に達した。

多くの牧師、伝道者、信徒が批判され、投獄され、教会堂は次々に破壊されていった。しかし、改革開放(1978年)以降、政府の家の教会に対する対応は、比較的寛容的になり、締め付けも緩やかになった。

60、70年代に信仰を捨てた人たちが大量に入信、地下状態にあった教会が、公に活動を始め、農村から始まったリバイバルが都市にまで広がり、知識階級の人たちも多く入信するようになった。

今では、特に都市部にある家の教会が急成長し、テナントビルや、賃貸マンション、家庭、会社の工場や事務所などが教会となっている。

以上のように改革開放以降の中国の家の教会は、基本的には公に活動を行っており、自分がキリスト教徒であることも隠さないし、路傍伝道もする。

聖書は携帯端末などで閲覧することができ、また、ネットや書店などで買うことができる。

政府系シンクタンクの中国社会科学院の調査隊が、ある地域に行った時、いたるところに教会があるのを発見した。

そこで、地方政府の役人を、その場所に連れて行き、教会の前に立たせた。

調査隊が「ここに教会があるでしょ。」と言うと、その役人は「僕には見えない」と答えたそうです。その後、何度問い詰めても、「教会は存在しない」の一点張りだったそう。

彼の説明によると、「中央政府には教会が見えない」という以上、地方政府も中央政府にならい、「見えない」と言わざるを得ない。

つまり、見て見ぬ振りをしろということ。政府非公認の教会の存在を認めてしまうと、それに対して対応しなければならなくなる。だから、見えないことにしているのだ。

非公認教会に対する迫害

しかし、地方によっては、依然と迫害が続いている地域もある。

家の教会に対する締め付けの具合の強弱は、地方によって異なる。家の教会の公の活動に対して、断固とした反対措置をとる地方政府もある。

非合法での集会をやめさせるべく、教会へのテナントビルの貸し出しを禁止させたりするような教会に対して圧力をかけている地方もある。しかし、それでも多くの場合、地方政府の教会に対する態度は、寛容的で、締め付けも弱くなっていると言える。

監視監督はしなければならないが、あまり統制、干渉しすぎてもいけない。状況に応じて、さじ加減を調整したり、「見えない振り」をしているのが現状である。

このような状態の中、急成長してきた中国の教会。すでに信者数7000万人以上(中国社会科学院調べ:2008年)中国人クリスチャンは、近い将来、中国は世界最大の宣教師輩出国になると、言っている。

もちろん、ビザ関係の法整備も必要であるし、彼らが日本へ来るのは容易なことではない。また、彼ら自身も日本の文化に適応できる柔軟さは必要である。しかし、それだけでなく受け入れる側も心の準備が、必要なのではないかと思っている。

まとめ

  • 三自愛国教会は1950年に政府公認のもと「中国人主導で中国の教会を建て上げる」ことを目的に成立した。
  • 三自愛国教会は政治色が強いと言われているが、その多くは福音的であるとも言われている。
  • 家の教会の迫害は文化大革命(1966~76年)の時に激さが最高潮に達したが、改革開放以降は地域によって圧力のさじ加減がことなっている。
  • 中央政府の方針に従って地方政府は家の教会の存在を見て見ぬふりをする場合がある。
  • 信者数7000万人以上で中国人クリスチャンは、近い将来、中国は世界最大の宣教師輩出国になる可能性がある。
※参考資料 
鳳凰衛視2010年7月15日《社会能見度》節目:中国家庭教会調査、為文字実録
参考リンク