笑ってはいけないキリスト教会

12月も中旬になり、いよいよクリスマスです。中国の教会では一年でこの時期がいちばん忙しいですが、いちばんおもしろい時期でもあります。

クリスマス特別プログラムの演目は2つ用意されていますが、ひとつは、20代の兄弟が舞台監督をしており、ワーシップとショートフィルムで構成されている非常に洗練された作品になっています。もうひとつは、40代の姉妹が舞台監督をしており、ダンス、劇、朗読など何でもありのちゃんぽん的な作品になっています。

この40代の姉妹がディレクターを務める演目が、相当面白い仕上がりになっています。昨年もこの姉妹の演目を見ましたが、腹がよじれるほど笑わせて頂きました。昨日、教会へ行った際、リハーサルを少し見ましたが、昨年よりも、さらに笑いに磨きがかかっていると思いました。もちろん、ディレクターはウケを狙って脚本を作っていないと思います。

参加者は至って真剣、真面目そのものです。魂の救いのため、福音宣教のため、神の愛を伝えるために、演出しています。今年も昨年同様、オープニングダンスからスタートします。もうこれが、最高に面白い出来になっています。

今年のオープニングダンスは豪華4部構成になっています。段階的に人や道具や動作を変化させ、直球で笑いを誘ってきます。今年は、大きな太鼓を購入したようです。しかも4つも。赤塗のボディーの半径20センチ位ある大太鼓です。

年に一回使うか使わないかの楽器です。必需品じゃないので、レンタルでいいと思いますが、どうしても買いたかったんだと思います。購入するのは構わないんですが、いかんせん大太鼓4つは場所を取るので、楽器置き場に人が入れるスペースがなくなり、奏楽者が嘆いていました。

そして、その大太鼓の使用方法ですが、オープニングに相応しく迫力を出すために、バチを使って派手にドコドコすると思ったら大違い、ただ、二人の若い女性が一つ一つの大太鼓を囲み、神妙な面持ちで、ハンドでゆっくり叩く真似をしているだけでした。

まず、大太鼓から音出てませんし、この演出だったら、大太鼓は要らないと思います。さらに、どうせ叩く真似をするなら、BGMは速度早めの賑やかな曲なので、元気よく笑顔で叩く真似をしてほしいです。

しかも、その大太鼓を叩く真似をしている人は、ストリートダンス経験者で、張り切ってオープニングダンスに申請した人でした。何か、彼女の気持ちを思うと、やるせなく、悲しみもあいまって、笑いが止まりませんでした。

こんなに面白いのに、周囲で笑ってるのは私だけです。笑ってはいけないキリスト教会です。隣にいた人に「むっちゃ面白くない?」と聞いても、共感を得られません。感性が全く違うのかもしれません。

大太鼓に引き続き、ダンスが始まります。

女性数名が1メートルほどの偽物の桃の花の枝を持っています。ちなみに、桃の花はクリスマスと一切関係なく、聖書にも桃の花は出てきません。

そして、女性が、これをクワを持って農作業をするような動きで、「よっこらしょ」、「よっこらしょ」と持ち上げたり、下げたりします。
神妙な面持ちで。。

さらに、後方には、何故かおっさん3人配置されています。3人とも赤い旗を持って、微動だにせず、突っ立っているのです。

おっさん要らんやん。

BGMが元気な曲だから笑えよ、と思うのですが、あくまでも福音宣教だからなのか、笑いません。全体の構成、仕掛け、小道具、動作まで、何をどう突っ込んでいいかわからなくなってしまいます。

これだけで、10分ほどです。後半は、メインの説教に向けて、内容はもっと重々しくなっていきます。

後半は静かな礼拝系の曲に合わせて、数名の女性がバレエをする演目があります。それ自体は、綺麗でいいのですが、これも、なぜか、後方で男性が一人踊っています。しかも、その男性の髪型はソバージュで肩まで髪があります。さらに、その人の髪の色は、黄色をベースに緑と青に染められているんです。

いくら、礼拝系の曲で厳かな雰囲気の中でダンスされても、この男性がすべての緊張を緩和させてしまいます。カラフルな髪の毛のソバージュ男性が、後ろで赤い布を持って立っています。

教会側も教会側で、厳かな演目である以上は、彼に黒染めするように指示すべきです。栄光を神に帰す云々じゃなくて、彼の舞台上でのプレゼンスが大きすぎて、彼が全部持っていってしまうからです。おおよその雰囲気は、ダウンタウンが演出している「ガキの使いやあらへんで」のハイテンション選手権に似ていると思います。

昨日は、笑いを堪えるので精一杯で、直視できませんでした。その他、演目自体は全部で1時間ほどあるので、いちいち記述してたらきりがありません。映像をお見せできないのが残念でなりません。

「笑ってはいけないキリスト教会」は、12月21日と25日に上映されます。
帰国した際に、映像は持ち帰るので、ご覧になりたい方はおっしゃってください。

「見よ、おとめが身ごもって男の子を生むであろう。その名は、インマヌエルと呼ばれるであろう。これは、『神我らと共にいます』という意味である。」

カナンの地は今日も輝いています。