中国の教団型の教会がもたらした負のイメージ

中国の家の教会には大別して、以下の3つの教会があると言われている。

  • 伝統的な家の教会
  • 開放的な家の教会
  • 都市的な新興教会

中国全土に均一的にこれらの教会存在しているわけではなく、それぞれの教会の歴史や伝統や教義の違いにより、または教会が成長したその地域の特徴によって、その分布に特徴がある。

これら環境や文化の違いが、教会内部の運営方法や管理方法に大きく影響を与えており、この組織構造の多様性は他国にみない中国の家の教会の特徴であると言われている。北京の家の教会は、他省にある教会とは異なり、都市的な新興教会は、その他家の教会とは異なり、中国内陸部にある教会は、沿岸部の教会とは異なる。

内陸部の教会には、「三多」の特徴があり、老人、婦人、非識字者の三者が多く、その一方で、沿岸部の教会には、若者やある程度の教育を受けた人や、ビジネスマンや男性の出稼ぎ農民が多いという現象が見られる。そして、さらに中国の家の教会の形成過程を見た場合、以下の組織形態を経て成長してきたと言われている。

  • 地下教会時代
  • 教団式の教会時代
  • 独立した地方教会時代

この中で、特に教団式の教会が相当の組織力と規模を有しており、中央政府や知識者から社会の安定に対する脅威になりうると考えられてきた。しかし、これら教団式教会がもつピラミッド型の中央集権的な組織の教会は、現在減少傾向にあり、多くの伝統的な家の教会は転換期を迎えている。

新しい形態である都市的な新興教会は、厳格な上下関係に縛られない、平等な組織をもつ独立した地方教会型の教会が多くなる傾向にはあるが、実際、中央政府や知識人の家の教会に対するイメージのほとんどは、依然として、北部の教団式の教会の印象だけによって形成されており、

その中国の家の教会全体を理解していない極端に偏った部分的なイメージが、多くの誤解を生む要因になっているといわれている。

教団式の教会は、その教会運営に関して、その教団本部の管理や指示を受け、教職者や教会責任者も、教団本部によって指導、管理されことはもちろんのこと、信徒もその実際的な行動において厳格な要求または制約を受ける。組織は閉鎖的で、上の下に対する強制力や拘束力が強い組織を持っている。

ゆえに、中央政府からみれば、このような組織形態の教会は、潜在的にではあるが非常に大規模な組織力を有しているため、政府の統治に対して脅威になると考えられてきた。

また、その教会の教義から判断した場合、その信仰するところの教義は非常に極端なところがあり、異端や邪教に発展する容易さやもろさも持っているとも指摘されている。正統な教会からすれば、これらの教会によって、誤った偏った家の教会のイメージが形成されるため、本音としては大変な迷惑になっていると言われている。

正統な教会はこれら誤解や偏見を取り除くために、異端や邪教に対して、どのような対応をとり、処置をするかは最も重要な問題となっている。

もちろん、ここで、「キリスト教は何をもって正統とするか」という問題が、存在していることは言うまでもない。また、福音派の家の教会のリーダーである瀋和林は、このようなの教会を生み出した原因の一部は、ペンテコステ運動、カリスマ運動にあると指摘し、ここ数十年に起こったこれらの運動が、中央政府や知識者の家の教会に対するイメージ形成に、マイナス面の影響を与えたと言っている。

もちろん、すべてのペンテコステ派の教会が、このような負の影響を与えたとは考えられないが、少なくとも彼らの違和感を感じるほどの熱狂や、衝動的な行動、他教義を有する教会に対するその過激な対抗性と排他性は、中央政府を困惑させ、キリスト教に対して偏見や疑問をもたらせるに至ったと言っている。

中央政府からすれば、彼らの教会組織が地方政府を脅かし、一般民衆を惑わし、さらに社会の不安定をもたらす要因になる可能性があるため、神経を尖らせざるをえない側面があると言われている。

参考資料
基督教的发展与中国社会稳定—与两位“基督教家庭教会培训师的对话”
参考リンク