中国の家の教会の種類について

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中国の家の教会の種類

中国の家の教会は、組織形態、構成人員、歴史背景、社会に対する組織のあり方などの数項目から、以下の3つに分けられる。

  • 伝統的な家の教会
  • 開放的な家の教会
  • 都市的な新興教会

伝統的な家の教会

伝統的な家の教会は以下の特徴がある。

①三自愛教会と組織的に関係がなく、互いにクリスチャン同士の接触や交流が一切ない。もちろん、政府の認可も得ていない。

②集会所は信徒の家で、規模も比較的小さい。これは、伝統的に農村型の家の教会はリスク分散のため、集会を小規模、非固定的、ゲリラ的に行われていたからである。

③対外的に開放的ではなく、限られた成員のみの集団であること。これが最大の特徴だと言える。典型的な村型の社会を構成しており、内部の人からの紹介がなければ、成員になることができず、組織は不透明で、外部から組織の詳細を把握することは非常に難しい。

④集会などの宗教活動をする際に、専門的に神学を学んだ人材を必要としない。組織内で比較的年齢が高い人、聖書の知識が豊富な人材が活動を主導する。

⑤組織の管理方法は家長制を採用している。この伝統的な家の教会は、主に陝西省、河南省などの中西部の地域に分布していると言われている。

開放的な家の教会

①伝統的な家の教会が、対外的に閉鎖的で、知人、友人、親戚等の関係によって構成されているのに対して、開放的な家の教会は、教会の決まりに従って、集まった兄弟姉妹によって構成されていることである。ここで言う「決まり」とは、受洗の有無などキリスト者の定義に関する決まりのことである。

②また、組織の規模も大きい。組織内の管理方法は、より体系的で整っており、集会の規模も非常に大きく、総信徒数が1000人を超える教会もある。組織内の透明性も高く、外部に対しても開放的で、教会堂を建てたりする教会もある。

④伝統的な教会と比べて、三自愛国教会に対する偏見や不信感も薄れてきてはいるが、三自愛国教会との接触、交流は依然としてない。

⑤組織の管理方法は分権的で、組織内の部門間でバランスが取れるようになっている。この開放式の家の教会は、東部の経済が比較的著しい地区に多く分布していると言われている。

都市的な新興教会

この教会は、上記の2種の家の教会に対して、「第三の教会」とも呼ばれている。

①この教会は独立性が非常に強く、三自愛教会の制約を受けていない。また、伝統的な家の教会とも隷属的な関係にない。縦組織ではなく、横との繋がりを非常に重視する。また歴史的な背景や、過去から引き継いできた流れ等もなく、教会としての歴史は浅い。

②大部分の教会は教会堂を持たず、テナントビルのオフィスなどを賃貸または購入し、宗教活動を行っている。

③最大の特徴は、外の社会に対してより開放的、より透明性が高く、信仰告白や集会を公に行っているということである。教会内の成員の割合は、都市部に住む若年層のホワイトカラーや、大学生、大学院生など知識階級の人などが一定の割合を占めている。中には大学生主催の小規模なセル的な活動から、急成長した教会もある。

④教会編成や組織管理の民主化を強く主張しており、政教関係を打ち立てること、また、積極的に政府と対話することを重視している。

⑤また、政府非公認の問題に関しては、三自愛国教会の組織下に入る登録方法ではなく、三自愛教会の組織外で、単独で政府公認の教会として登録されることを主張している。この教会は主に北京、上海、広州などの大都市に分布しているが、特にには、この教会が多いといわれている。

私が知っている家の教会

わたしが通ったことのある教会はこの「第三の教会」である。3年前にテナントビルを購入、改装し、500名収容できる礼拝堂を有している。総信徒数は1000名を超えており、ビジネスマン、大学生、医者、教師など、様々な階層の人たちが集まっている。

当教会は、2012年末のある事件をきっかけに、東莞政府から三自愛教会の管理下に入るように、ずっと圧力をかけられていたが、教会リーダー数名が政府側と粘り強い対話を続け、2013年に、一定の条件のもとで政府公認の家の教会として認められた。しかも、三自愛教会の組織外での認可である。正式に合法的にその存在が認められ、宗教活動ができるようになった。

まとめ

  • 家の教会には、伝統的な家の教会、開放的な家の教会、都市的な新興教会がある。
  • 伝統的な家の教会は、小規模、組織は不透明で主に陝西省、河南省などの中西部の地域に多いといわれている。
  • 開放的な家の教会は、大規模、組織内の透明性も高く、教会堂を建てたりする教会もあり、中国東部の地域に多いと言われている。
  • 都市的な新興教会は、テナントビルのオフィスなどで集会をもち、都市部に住む若年層のホワイトカラーや、大学生が多く北京、上海、広州、浙江省の温州市で増加傾向にある。
  • 中には政府側と粘り強い対話を続け、公認の家の教会と認められる教会も出てきている。
※参考資料
2008年12月11日北京大学 「為基督教教会脱敏」演説 于建嵘 為文字実録
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